TEL 042-333-0009

時 間 午前9~12時、午後4~7時
休診日 火曜日・祝日

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皮膚科

当院の皮膚科について

ワンちゃんの3頭に1頭は皮膚トラブルを抱えていると言われており、動物においても最も多い病気やトラブルかもしれません。

実際に当院にも、「痒がっている」、「皮膚が赤い」、「毛が抜ける」などの皮膚や被毛での皮膚科症状・疾患でたくさんの患者様がご来院されています。

また、皮膚疾患は症状の原因を特定することが難しく、専門的な経験と知識が必要となる分野でもあるため、当院で特に力を入れている分野として日々、研鑽を行っております。

動物に皮膚病が多い理由は?

皮膚は、表皮と真皮から構成されています。層構造で構成されている表皮は、ヒトで10-15層ですが、イヌでは3-5層しかありません。薄い表皮は刺激に弱く、容易に真皮に刺激が伝わってしまいます。これが動物に皮膚病が多い理由の一つです。

更に、動物は自分でお風呂に入らないので、アレルゲン物質や汚れを取り去れず、かゆい場合は自分で噛んだり引っ掻いたりして悪化させてしまいます。

この為、動物は皮膚病にかかりやすいのです。

また、ほとんどの場合において、二次感染(ある病気の為に引き起こされた病気)を複雑に発症しており原発性疾患(根本の病気)がわかりにくくなっている事、この原発性疾患をきちんと治療しないとすぐ再発する事などが皮膚病治療を難しくする要因になっております。

Ph ターンオーバー
7.5 20日
4.5~5.5 28日

皮膚科分野で多い症状

  • 身体をかゆがる
  • 赤いブツブツがある
  • 足をペロペロとなめる
  • 眼や耳のまわりが赤い
  • 顔、耳、口、のど、首、脇のあたりを掻いている
  • においが臭い
  • 毛が抜ける
  • 皮膚がベタベタしている
  • フケが出る

チコラ動物病院での治療の流れ

1.飼い主様から、飼育環境やフード、発症の時期やこれまでの病歴などを教えて頂き、基本の検査を各種行って、皮膚病の要因を探ります。

2.治療方針が決まったら、飼い主様への説明を行い治療を開始します。
必要に応じて、さらに詳しい検査を行います。
(アレルギー検査や内分泌検査等)

3.食事性アレルギーを疑う場合に、除去食試験という試験を自宅で行ってもらうことがあります。
除去食試験とは、その動物に食事性アレルギーがあるかどうか調べるための試験で、試験期間中は病院で処方した特定のフード以外何も食べられなくなります。ご家族全員の試験への理解と協力も必要になります。

皮膚病治療で飼主様に知っていただきたいこと

皮膚病はすぐには治らず、繰り返しやすい病気であるということをご理解して頂いた上で、病気がよくなった後も継続的に経過を観察し、悪くなり始めたらなるべく早くご来院頂くようにお願いします。

皮膚病は季節や外部環境、遺伝などにより引き起こされ、良い時期と悪い時期を繰り返しやすい病気です。(例えば・・花粉の多い時期にかゆくなりやすいとか)

最低でも30日間ほど積極的な治療を行います。
(皮膚のターンオーバーが犬の場合21日間かかるので)

薬用シャンプーによる薬浴は治療です。動物は毛が多く塗り薬が使いにくい上、薬を舐める為、人間でいう外用薬を使用できません。その為、薬用シャンプーは院内処方の治療薬になります。病状にもよりますが、最初の1か月程は通常週1~2回必要です。
薬用シャンプーは適切な使い方が必要です。

よくなった後の皮膚を保つスキンケアも大切です。ご相談ください。

皮膚科の診断・検査

皮膚病の主な原因には、細菌・真菌(カビ)・寄生虫などの感染、脂漏症などの生まれ持っての性質、アレルギー(食事・ノミ・疥癬)、アトピー、内分泌疾患、免疫異常などがあります。 症状は同じでも原因は様々です。単一の場合もあれば、複数の要因が重なっていることもあります。
これらの原因を探り改善を行うためには、専門的な検査、適切な診断、適切な処置が必要となります。

皮膚科の検査

検査名 検査の目的
くし検査 ノミ取りくしで体表をすき、毛や鱗屑(フケ)、ノミの糞・虫体の検出を行う検査です。
被毛鏡検 採取した被毛を顕微鏡で観察します。被毛に感染した真菌(カビ)や被毛に付着した寄生虫、毛根で増えるニキビダニのような寄生虫の検出をします。
培養検査 真菌(カビ)培養培地を用いて真菌培養をしたり、細菌の培養検査を行います。
押捺検査 スライドやセロハンテープを皮膚に押し付け、染色鏡検し、マラセチア・真菌・細菌の有無と種類などを検査します。
皮膚掻爬検査 皮膚の表面を少しだけ削って(掻把と言います)、毛根で増えるニキビダニや皮膚にトンネルを掘っているヒゼンダニの検出をします。
一般血液検査
及び
内分泌検査
皮膚は内臓の鏡と言われることがあります。皮膚の疾患だと思っていたら内分泌疾患の症状のひとつとして皮膚炎がおきていたりすることもよくあります。甲状腺機能低下症による脱毛や難治性の細菌性皮膚炎やニキビダニ症、副腎皮質機能亢進症による皮膚の石灰化など
ウッド灯検査 暗室でライトを当て真菌の検出を行います。
皮膚生検 自己免疫疾患や腫瘍(皮膚型リンパ腫)等を疑う場合は皮膚の一部をくりぬいて病理検査を行います

代表的な皮膚科の病気

イヌ

病名 状態
ノミアレルギー性皮膚炎 ノミの寄生によるアレルギー症状
疥癬(かいせん)症 ヒゼンダニが皮膚の中に寄生し、フケと強い痒みを伴う
犬毛包虫症 もともと常在しているニキビダニが免疫力低下等により増殖し皮膚炎やかゆみ、フケ等の症状をひきおこす
膿皮症 何らかの原因により皮膚表面に存在する常在菌が皮膚や毛穴に感染した状態。皮膚が赤くなったり中程度~強めの痒みがでることがあります。
マラセチア皮膚炎 マラセチアという酵母の一種が皮膚で異常増殖して皮膚の赤みや痒みを出す皮膚炎。発症部位がアトピー性皮膚炎の好発部位と類似します。
アトピー性皮膚炎 皮膚バリア機能の低下による環境アレルゲンへの暴露機会の増加などにより免疫担当蛋白であるIgEが増えてしまうことで起こる病態と考えられています。
食物アレルギー 食べ物が原因となるアレルギー 除去食試験によって診断します。

病名 状態
皮膚糸状菌症 皮膚糸状菌という真菌(カビ)による伝染性感染症であり、ヒトと動物の共通感染症でもあります。頭部や足先などにフケを伴う脱毛(毛が抜けること)や裂毛(毛が切れること)、皮膚の赤みなどの症状を出します。
ノミアレルギー性皮膚炎 ノミの唾液に対するアレルギーで強い痒みや脱毛が主な症状
背中の真ん中に帯状に皮膚炎を起こす
猫疥癬 猫疥癬はネコショウセンコウヒゼンダニの寄生による皮膚疾患です。ヒゼンダニ本体やその代謝物に対するアレルギーとして皮膚炎が起こります。ネコショウセンコウヒザンダニが一過性にヒトに寄生することもありますが、ヒトの皮膚で増えることはありません。
食物アレルギー 食物と関連して皮膚・消化器・呼吸器などに様々な症状を表す疾患です。主な症状は頭頚部皮膚の掻把痕(掻き壊し)、脱毛、皮膚炎など
非ノミ非食物アレルギー性皮膚炎 ノミアレルギーおよび食物アレルギー以外のアレルギーによる皮膚炎(一般的には猫のアトピー性皮膚炎と考えていい)です。外部寄生虫や真菌・細菌感染などの除外、除去食試験などにより診断します。
心因性脱毛 ストレスに起因する慢性的な四肢や体幹部のグルーミングや毛をむしる行動などにより脱毛や皮膚炎、潰瘍、炎症などが生じたものです。室内飼育や多頭飼育の猫に発症しやすい傾向があります。
外耳炎 外耳炎は、鼓膜から外側の耳道に発生する炎症性疾患で、その発生には多くの因子が複合的に関わっています。

外耳炎の原因

主因(単独で外耳炎を発症させる因子)

犬アトピー性皮膚炎、食事性アレルギー、耳道内異物(本人の毛や植物など)、耳道内腫瘤、外部寄生虫(ミミヒゼンダニ)、脂漏症、内分泌疾患(甲状腺機能低下症など)、その他(免疫介在性外耳炎など)

副因(外耳炎が起こった結果二次的に付随するが簡単に除去できる因子)

酵母様真菌の増殖、細菌の増殖・感染など

増悪因(外耳炎が起こった後に生じ、外耳炎をより重症化させる因子)

耳垢過多、分泌腺過剰、外耳炎による二次的な外耳道狭窄など

素因(外耳炎が起こる前から存在し、外耳炎発症リスクをあげる因子)

高温多湿な環境、先天的な耳道狭窄(好発犬種:フレンチブルドッグ、パグ、チワワ)、耳毛過剰

外耳炎かどうかは、耳周囲の掻痒、耳垢の存在、耳道の炎症性変化を確認することで診断します。
しかし、治療や管理、予後の予測についてはその原因(主因、副因、増悪因、素因)の探査や病態の把握が重要であるため様々な検査が行われます。
観察:耳介や耳道の状態を目で見て確認します。耳鏡による耳道内の観察もします。
耳道内異物や耳道内腫瘤の有無や耳垢の性状や量、耳道壁の状態の観察をします。
耳垢検査:ミミヒゼンダニがいるかどうかを中心に検査します。細菌や酵母様真菌の有無も検査します。
その他検査:犬アトピー性皮膚炎、食事性アレルギー、脂漏症、内分泌疾患(特に中年齢以降の場合)についての検査が行われます。
外耳炎を発症している動物の5-8割で中耳炎を併発しているとの報告があります。中耳炎の併発が疑われる場合には、CTやMRIなどの画像検査が行われます。
治療:温めた洗浄液や生理食塩水などを用いて耳垢を除去し、コルチコステロイドの点耳などにより耳道の炎症を抑えて、耳の生理的な機能の回復を目指します。
ほとんどの場合、定期的な耳垢の除去や抗炎症治療が必要になります。
主因になるような原因があればそれぞれの原因に対して根本治療や緩和治療が行われます。

当院での耳処置について

外耳炎のコントロールには定期的な外耳道の洗浄が必要になることがほとんどです。
治療には徹底的な耳垢の除去が必要です。綿棒を外耳道に挿入するやり方だときれいになったように見えますが、実際は耳垢が耳道の奥に押し込まれて外から見えなくなっているだけです。当院では耳道洗浄液などを用いて耳垢の除去を行っているのでその方法について少し触れておきます。

耳道を観察して耳垢の除去が必要だと判断したら、まず始めに30-40℃に加温した耳垢溶解液を外耳道に入れて耳道の洗浄をします。加温する目的は洗浄液による耳垢溶解効果を高くするためと外耳道に冷たい液体を入れることで動物に違和感を与えないためです。誰だって耳の中に冷たい水を入れられたら嫌ですよね。外耳炎のコントロールのためには徹底した耳垢の除去が必要なので、検耳鏡を用いて(また少し脱線しますが、検耳鏡の先に付けるスペキュラ(耳の中に入れる部分)は使い捨てです。洗って乾かしてまた使うというようなことはしていません。だって誰だって知らないオジサン(いや特にオジサンでなくてもいいんですが)の耳にさっき入れていたあれを洗ったとはいえ自分の耳に入れられたくないと思いませんか?)耳垢がなくなったかどうかを観察しながら耳垢が無くなるまで洗浄します。


耳垢溶解液の温度を温度計で測定しています

また少し脱線しますが、検耳鏡の先に付けるスペキュラ(耳の中に入れる部分)は使い捨てです。洗って乾かしてまた使うというようなことはしていません。だって誰だって知らないオジサン(いや特にオジサンでなくてもいいんですが)の耳にさっき入れていたあれを洗ったとはいえ自分の耳に入れられたくないと思いませんか?

次に、やはり30-40℃に加温した(加温する理由は先ほどの通りです)生理食塩水などで洗浄します。これはただでさえ敏感になっている耳道に洗浄液を残しておいて洗浄液の刺激で炎症が起きないようにするためです。洗浄液を生理食塩水で流したら最後に適切な点耳薬を点耳します。


当院の耳道洗浄セットです。
耳垢溶解液は小さなカップに出して使い捨てています。
耳鏡に装着するスペキュラも生理食塩水も使い捨てて
院内感染が起こらないように気を付けています。

このような簡易的な耳道洗浄で外耳炎が管理できなあい場合には耳用の内視鏡を用いて外耳道の洗浄を行っています。
耳用の内視鏡を用いた洗浄のメリットは効果が高いことです。鼓膜までをよく見て必要であれば毛を抜くなどの処置が可能なので簡易的な洗浄よりも徹底的な洗浄が可能になります。デメリットは全身麻酔が必要になることです。

簡易的な洗浄も耳用内視鏡による洗浄も多くの場合で定期的な処置が必要になります。


耳道の中に毛が落ちていました。毛は単独で外耳炎を発症させる因子である主因(耳道内異物)になり得ます。
耳用内視鏡のピンセットを使って毛を取り除いてきれいに洗浄しました。
週1回必要だった外耳炎治療が月1回の治療でよくなりました。