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SGLT2阻害薬はゲームチェンジャーとなりうるのか

2024年10月07日

SGLT2阻害薬はゲームチェンジャーとなりうるのかというセミナーを視聴しました。
SGLT2阻害薬って何?ってなりますよね。大雑把に説明すると比較的新しく開発された糖尿病の治療薬です。
今回は猫の糖尿病治療薬として発売されましたSGLT2阻害薬のセンベルゴに関するセミナーで、ベーリンガーインゲルハイム アニマルヘルスジャパン株式会社主催、講師は米国獣医内科学専門医の福島健次郎先生でした。

まずはSGLT2について説明します。
腎臓には近位尿細管という部分がありますが、その近位尿細管にナトリウムグルコース共輸送体というものがあって尿中の糖を尿から体内へ取り込んでいるそうです。そのナトリウムグルコース共輸送体にはSGLT1とSGLT2という2タイプがあって尿の流れの上流にあるSGLT2が尿中の糖の90%を下流にあるSGLT1が残りの10%を取り込んでいるそうです。
つまりSGLT2阻害薬とは尿中にでた糖の吸収を阻害して血液中の糖を無理やり尿に流してしまうという薬になります。

福島先生はこの薬が出た当初は薬について懐疑的な印象を持っていたそうですが、海外の内分泌の専門医の意見を聞いたり自分で調べていくうちに考えが変わって今はとてもいい薬だと思っているとお話されていました。
糖尿病にはインシュリン量の絶対的な不足によっておこる1型糖尿病とインシュリンが効きにくくなるなどの相対的な不足による2型糖尿病がありますが、猫の糖尿病の多くは2型糖尿病だと言われています。
センベルゴは猫の2型糖尿病の治療薬として発売された薬になります。

実際の治療例を提示されていましたが、インシュリン不足による代謝の変化によっておこるケトアシドーシスがコントロールできなくなったのでセンベルゴからインシュリン注射治療に替えた症例のお話は興味深く聞かせてもらいました。インシュリン不足なのでケトアシドーシスになってしまうが、センベルゴ投与で血糖値は下がっているので「正常血糖性ケトアシドーシス」と話されていましたが、この正常血糖性ケトアシドーシスはケトン体の測定を血液検査で調べておかないとわからないのでセンベルゴを使用する際はケトン体の検査が必要だと思いました。
価格が高めなので飼い主様的にどうかな?と思いましたが、猫の2型糖尿病治療に新しい武器ができたことに間違いはないと思います。SGLT2阻害薬はゲームチェンジャーとなりうるのか?というテーマでしたが、「なりうる」と思いました。
ただ、まだ分かっていない事も多く使い方に制限はありそうです。