TEL 042-333-0009

時 間 午前9~12時、午後4~7時
休診日 火曜日・祝日

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MMVDの治療強化

2023年04月10日

MMVDの治療強化というタイトルのwebセミナーを受講しました。
講師は東京大学付属動物医療センターの水野壮司先生でした。
MMVDとはMyxomatous Mitral Valve Diseaseの略で粘液腫様僧帽弁疾患と訳されます。
心臓の左心室と左心房を隔てる僧帽弁が粘液腫様変性を起こすことで、僧帽弁がうまく閉じなくなって左心室の収縮期に左心室から左心房に血液が逆流してしまう病態を指します。
MMVDは犬では比較的一般的な病気で、運動能力の低下や咳などによって気づくことがあります。
治療は強心薬・血管拡張薬・利尿薬などによる内科治療が一般的ですが、外科治療も最近は行われるようになってきました。

水野先生はまずACVIM(米国獣医内科学会)のガイドラインによるMMVDのステージ分類の話をされていましたが、ACVIMのガイドラインからさらに踏み込んでVLAS(レントゲン検査による左心房径の測定法)測定のお話もされていました。
また、MMVDはステージの進行とともに肺水腫のリスクが上昇してきますが、肺水腫のリスクを捉えるための安静時呼吸数の測定を勧めておられました。
当院でも心雑音のある動物のご家族には皆様に安静時呼吸数の測定をお願いしています。
肺水腫はある日突然やってくる印象があるかもしれません。朝の散歩にも行ったしご飯も食べたのに、夕方から呼吸がおかしい。突然肺水腫になったように思いますよね。
しかし、肺水腫に突然なることはあまりないと言われています。肺水腫になる数カ月前から安静時呼吸数が増えるという報告が出ているのです。自宅で安静時の呼吸数を測定するのは費用も掛かりませんし、比較的感度の高い検査法だと思います。当院では15秒間呼吸数を測定して4倍して1分間の呼吸数にしてくださいとお話していますが、実際に数えてもらうとほとんどの場合15秒で4-5回と言われます。呼吸数がいつもの数よりも増えたらとりあえず連絡をくださいとお話しています。レントゲン検査でもなく超音波検査でもなく自宅で簡単にできる呼吸数の測定によって肺水腫が回避出来たら素晴らしいですよね。