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Emergencyの治療ガイド


Emergencyの治療ガイド
2025年11月10日
Emergencyの治療ガイドというタイトルのwebセミナーを視聴しました。
Emergencyとは急患・救急症例というような意味だと思います。
実は紙で届きましたセミナーのお知らせには「エキスパートはどう対応する?ショック症例の初期検査」と確かに書いてあったのですが、セミナーを見ましたらタイトルは上のようなタイトルになっていました。
あれ?っとなりましたが、どちらにしろ救急症例に対するセミナーに変わりはありませんから特に問題ありません。
本セミナーはEduward Pressという出版社が出している「犬と猫の治療ガイド 私はこうしている」という本の定期購読者限定セミナーでした。
「犬と猫の治療ガイド 私はこうしている」は各分野の専門家が専門分野の疾患について「私はこうしている」というような診断法から治療法・予後までを詳しく執筆しているとても優秀な本で、数年に1回改訂されています。
改訂ごとに内容がほぼ入れ替わっていますので改訂と言いつつも新しい病気の参考書として出版されています。前回の出版は2020年でしたから5年前になりますが、前回の2020年改訂では内容が多くなったせいか犬と猫がそれぞれ1冊に分かれて出版されています(以前は1冊で犬と猫を網羅していたと記憶しています)。
その犬と猫の治療ガイドが恐らくさらに内容が充実したせいだと思いますが、2025年3月~2027年12月まで年間4冊の計12冊を定期配本という形で出版することになったようです。
説明が長くなりましたが、全部で12冊定期配本される犬と猫の治療ガイドの3冊目の救急バージョンが先日配本されましたので、購入者限定セミナーが企画されたということですね。
講師は札幌夜間動物病院の川瀬広大先生でした。
川瀬先生は始めにトリアージのお話からされていました。
救急分野ではよくABCDなどと言われますが、A=Airway、B=Breathing、C=Circulation、D=Disfunction of CNSの略で、Airway=気道、Brething=呼吸、Circulation=循環(主に血液循環)、Disfunction of CNS=中枢神経系の機能障害を指します。
どの異常も命に直結する怖い異常なんですが、よくA→B→C→Dの順で症例の評価をするように言われます。(大抵はA→Cまでは大雑把に評価するのであれば数秒で評価可能です)
先生はトリアージの次にPOCUSによって詳細な状況把握をするとお話されていました。
次々となんだこれ?っていう単語出てきますが、頑張ってついてきてください。
POCUS=Point of Care Ultrasoundの略語で、的を絞って短時間に行う超音波検査でヒト医療から入ってきた考え方です。
POCUSにはFAST、肺エコー、FCUなどが含まれます。
FAST=Focused Assessment with Sonography for Traumaの略語で、迅速簡易超音波検査とも言われます。
腹部を肝臓と胃周囲、左腎周囲、膀胱周囲、右腎周囲の4点に絞って超音波検査を行い、迅速に腹水貯留の有無を調べる検査です。
肺エコーは字の通りで肺に当てる超音波検査です。主に肺水腫や気胸、無気肺、腫瘤の有無について調べる検査になります。
FCU=Focused Cardiac Ultrasoundの略で集中心臓超音波検査とも言います。こちらも正式な心臓な超音波検査よりも的を絞った簡易的で迅速に行える検査と言い換えて良いと思います。
川瀬先生は、症例の評価にこれらの簡易的な超音波検査を用いているとお話されていました。
腹水のパートでは、感染性腹膜炎を疑う所見として末梢血のGlu値(血糖値)と腹水のGlu値が38mg/dL以上の乖離とお話されていました。感染性腹膜炎を疑うこともそうそうありませんが、覚えておきたいと思います。
ショック状態になっている症例においてはたった数秒が命を分けることがあります。
そのような症例が来院した際に迷いなく動けるように頭の整理にはなったと思います。









