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休診日 火曜日・祝日

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ACVIM コンセンサスステイトメント 犬猫の重積管理

2024年02月18日

ACVIM コンセンサスステイトメント 犬猫の重積管理というwebセミナーを受講しました。
このwebセミナーは能登半島地震復興を応援する獣医師の会が主催する令和6年能登半島地震チャリティレクチャーの中の講義で講師は日本獣医生命科学大学の長谷川大輔先生でした。
長谷川先生は世界的に有名な動物のてんかんの先生で、IVETF(International Veterinary Epilepsy Task Force)のメンバーでもあります。
令和6年能登半島地震チャリティレクチャーでは収益の全額を石川県獣医師会、令和6年 能登半島地震動物対策本部に寄付するということですが、3月末までに50人の先生が講義を行うとのことですからwebセミナー視聴が忙しくなりそうです。

長谷川先生は2023年11月にACVIMから発表されたACVIM Consensus Statement on the management of status epilepticus and cluster seizures in dogs and cats(犬と猫のてんかん重積状態および群発発作の管理に関するACVIMコンセンサスステートメント)の内容について私見を含めながらお話されていました。
本ブログにはちょいちょい「コンセンサスステートメント」という言葉が出てきますが、「ガイドライン」と置き換えて読んでください。

一番はじめに長谷川先生はてんかん重積の定義について1回の発作が5分以上持続する場合と完全な意識の回復なしに次の発作が始まってしまう場合の2つのパターンを挙げていました。
当院ではてんかんの動物の飼い主様にはほとんどの場合緊急時にご自分で鼻腔内投与をしてもらうミダゾラムという抗けいれん薬をお渡しています。偶然なのかどこかでそう聞いていたのかもう覚えていませんが「5分間けいれん発作が止まらなかったら薬を使ってください」とお話していますのでACVIMのガイドラインに沿ったお話になっていました。(この文章をうっている間にかすかな記憶がよみがえってきて、長谷川先生が以前セミナーでそのようにお話されていたような気がしてきました。多分そうだと思います。)

ACVIMのガイドラインではFirst Lineの治療としてミダゾラム鼻腔内投与やジアゼパムの直腸内投与(坐剤ではなく注射薬の直腸内投与)、ミダゾラムやジアゼパムの静脈内投与が勧められていました。
ちなみにジアゼパム坐剤の直腸内投与はけいれんが止まらない時の自宅での対策として広く行われていますが、近年ではジアゼパム坐剤の直腸内投与では吸収が緩やかすぎて発作が起こっている間に最高血中濃度が来ないことや、そもそも最高血中濃度になっても有効血中濃度に到達しないことなどが分かってきています。
ジアゼパム注射薬の直腸内投与がFirst Lineの治療として推奨されたということは坐剤でなく注射薬を直腸内に投与すれば坐剤よりも血中濃度の上りが良いというような報告がでたのかもしれませんね。

ミダゾラムやジアゼパムを1回投与しても効果が見られない場合何分後にもう一回投与しなさいとかここまでやっても効果が見られなければ持続点滴にしなさいというような細かいガイドラインが示されていてこれからのてんかん重積治療の院内ガイドラインに早速採用してみたいと思いました。