TEL 042-333-0009

時 間 午前9~12時、午後4~7時
休診日 火曜日・祝日

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高齢犬と心臓腫瘍 Veterinary Cardio Night Day3

2024年08月29日

高齢犬と心臓腫瘍というwebセミナーを視聴しました。このセミナーはVETS TECHというセミナー配信会社が毎年夏の暑い時期にやっている循環器にテーマを絞ったセミナーのVeterinary Cardio Night のDay3でした。
講師は福岡にあるペットクリニックハレルヤの平川篤先生で、今年のVeterinary Cardio Nightは高齢犬の循環器疾患ですが、平川先生は心臓腫瘍についてお話をされていました。

心臓には様々な腫瘍が発生することがありますが、右心房や右心耳に発生することが多い血管肉腫・心基底部に発生することが多い大動脈小体腫瘍や異所性甲状腺癌などがそのほとんどになります。
しかし、腫瘍が心臓に発生していることや出血への対応が困難なことから針生検などはほぼ行われていません。
平川先生は以前心臓に発生した血管肉腫の外科をしていたとのことでその当時の貴重なお話をされていました。
しかし血管肉腫は発見時にすでに他の部位に転移していることが多く基本的に全身疾患と考えておかなければならないことなどから、今は外科治療をしていないとお話されていました。
先に心臓の腫瘍は血管肉腫・大動脈小体腫瘍・異所性甲状腺癌などが多いと述べましたが、血管肉腫の治療には通常アドリアマイシンという抗がん剤が使われますが、大動脈小体腫瘍や異所性甲状腺癌にはトセラニブという抗がん剤が使われます。
ここで問題になるのが針生検ができないという所です。針生検ができない(もちろん組織生検もできない)ので確かな診断ができないのです。右心房や右心耳に発生した腫瘍の多くは血管肉腫で、心基底部に発生した腫瘍の多くは大動脈小体腫瘍や異所性甲状腺癌なので大体は合ってるのですが、抗がん剤は体にとって毒ですから何とかして診断の精度を上げたいのですが難しいと思っていました。
平川先生は、血管肉腫による心嚢水は大動脈小体腫瘍や異所性甲状腺癌による心嚢水よりもヘマトクリット値が高いことに注目すればある程度それらの腫瘍を鑑別できるのではないかとお話されていました。
これからは発生部位以外にもヘマトクリット値を参考に心臓に発生した腫瘍の鑑別をしていきたいと思います。