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難治性PLEの若齢犬 糞線虫


難治性PLEの若齢犬 糞線虫
2025年10月02日
難治性PLEの若齢犬 糞線虫というwebセミナーを受講しました。
本セミナーはVets ManaVivaというネット上のサロンのような場所で月に一回お題が出て先に問題に答えてから本編で答えと解説を兼ねたセミナーを配信するという形になっています。
講師はサロンのホストでもある日本小動物医療センターの中島亘先生でした。
PLE=Protein Losing Enteropathy=蛋白漏出性腸症と言いまして、何かしらの理由によって消化管からアルブミンというタンパク質が漏れ出てしまう病態で、血液検査で低アルブミン血症になります。
これはヤラレました!
先に出ていた問題では難治性のPLEで年齢からはリンパ腫のような腫瘍も考えにくいし、経過が長いのでウィルスや細菌感染なども違いそうだしリンパ管拡張症を強く疑うプロフィールでした。
「食欲と活動性低下・下痢・嘔吐・体重減少・低アルブミン血症の原因として次の何の可能性が高いと考えますか?」という問題で、選択肢は慢性炎症性腸症とリンパ管拡張症による蛋白漏出性腸症・リンパ腫による蛋白漏出性腸症・ウィルス感染による蛋白漏出性腸症・細菌感染による蛋白漏出性腸症・寄生虫による蛋白漏出性腸症の5つだったのでまんまと慢性炎症性腸症とリンパ管拡張症による蛋白漏出性腸症を選んでいました。
42%の先生方が同じ答えを選んでいて一番多い答えだったようですが、正解は寄生虫による蛋白漏出性腸症でした。
正解を聞いた後に消化管の超音波画像を確認しましたが、リンパ管の拡張所見はありませんでした。
く~~~~~!!!見逃してた~~!
26%の先生が寄生虫による蛋白漏出性腸症を答えに選んでいたので、この先生方は寄生虫でこういうことあるよねという知識があったか消去法で正解に辿り着いていたのだと思います。
集中力が足りませんでした。次回からまた集中していきたいと思います。
このように問題に答えるような形の後で解説動画が配信されるのですが、動画のタイトルに「糞線虫」って出ちゃってるからね!
えええ~~!!正解は寄生虫だったの??と思いながら解説動画を視聴しました。
しかも糞線虫。。。。??
私の中では糞線虫はそれほど有害な寄生虫ではなくむしろ居ても症状を出さない比較的無害な寄生虫という認識でした。症状があったとしても治療によって簡単に治る軽い下痢があるという程度でそれ程重症になるという認識はありませんでした。動画の中でも中島先生はほとんどの場合感染しても無害なことが多いとお話されていました。
しかし、柴犬あるいはM.ダックスではない(柴犬とM.ダックスは1歳でもリンパ腫発症がまあまああるらしいです 怖いですね)1歳未満あるいは1歳程度の若齢犬で、食事療法や薬物治療に反応しない場合は寄生虫感染を強く疑っていいともお話されていました。
動物の状態などによっては糞線虫感染によっても亡くなってしまうこともあるようなので若齢犬の難治性PLEに遭遇した際は糞線虫感染も可能性の中に入れて考えていくようにしていきたいと思います。
ちなみに糞線虫は土壌などにもいてヒトにも感染(皮膚感染あり)しますので注意が必要です。