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耳の外科 第107回 日本獣医麻酔外科学会 教育講演
耳の外科 第107回 日本獣医麻酔外科学会 教育講演
2023年12月23日
第107回 日本獣医麻酔外科学会の配信で耳の外科という教育講演を視聴しました。
講師は酪農学園大学の酒井俊和先生でした。
酒井先生の教育講演は画像が多く使われていてわかりやすかったです。
写真の画像もありましたが、恐らく先生の手書きと思われる図画がいくつも使われていてそれがとてもお上手でした。
酒井先生はまずは解剖からお話されていました。やはり外科では(外科以外も)解剖大事ですね。
脈管や神経がどこをどう走っているのかというのを手書きの図で示していました。
耳の外科手術には外側耳道切除術という比較的よく行われる手術があるのですが、過去の報告によると手術の成功率は良くないそうです。しかも時代が進むにつれて不成功率が上がっているという謎の結果を示されていました。
そうなってしまった原因を、飼い主様の手術に対する過度な期待(術前の説明不足?)・基礎疾患のコントロール不足・中耳疾患の見落とし・技術的な問題などがあったのではないかと考察されていました。
当院で外側耳道切除を行う際は、この手術は外耳炎を治すための手術ではない外耳炎の治療をやりやすくするための手術だということを飼い主様に説明して理解してもらってから行っています。
手術をするんだから外耳炎は治るんだろ?と思ったまま手術をしてしまえば、治ってない!となりますよね。
術前の丁寧な説明が重要ですね。
垂直耳道切除術の治療成績についての報告では外側耳道切除術と比べて、ExcellentとGoodを足して96%と非常に好成績だったようです。
垂直耳道切除術もそれによって外耳炎が治るわけでもないでしょうし中耳炎があれば飼い主様からは治ってないと思われるかもしれませんがここまで成績が良い理由がよくわかりませんでした。
次に外耳炎のコントロールを目的に外科を考えた時は垂直耳道切除術を第1候補として考えたいと思いました。