犬糸状虫症は蚊に刺されることで体内に犬糸状虫（フィラリア）が侵入して発症する病気です。
犬糸状虫症（フィラリア症）は本来イヌ科動物に好発する疾患であり、猫では犬糸状虫に対して抵抗力があるので犬糸状虫が感染すると犬と異なる病態を示します。

新潟県の動物病院に来院する猫に犬糸状虫に対する抗体検査を行った調査では、14％の猫で抗体陽性だったと報告されています。猫における犬糸状虫に対する抗体検査では約半数で偽陰性の結果がでることを考えれば大体3割程度の感染率と思われます。

犬糸状虫症の症状は犬の場合循環障害として表れますが、猫の場合呼吸器の症状を表します。

猫における犬糸状虫症の診断は非常に困難で他の呼吸器疾患との区別が難しいと言われています。

動物保険会社のアニコムが公表している保険請求された疾患の割合の報告によると、呼吸器の疾患は泌尿器疾患、消化器疾患、皮膚疾患、眼の疾患に次いで５番目に多い疾患です。
猫では喘息や慢性気管支炎のような呼吸器疾患は比較的よく遭遇する疾患ですが、猫の犬糸状虫症の診断が非常に困難であることを考慮すると、これらの呼吸器疾患の中に猫の犬糸状虫症が紛れていてもおかしくないと思います。

アニコムが発表しているデータや新潟で行われた抗体調査の結果および犬糸状虫症の診断が非常に困難だということも考えると、犬糸状虫症感染によって呼吸器症状を表している猫の多くが犬糸状虫症と診断されることなく喘息や慢性気管支炎と診断されている可能性があります。

猫の犬糸状虫症は診断が難しい病気ですが、予防が簡単にできる病気です。

猫の呼吸器疾患のすべてが犬糸状虫症だとは思いませんが、犬糸状虫症の予防をすることで呼吸器疾患になる可能性を少し下げられるはずです。

猫ちゃんに犬糸状虫症の予防を考えてあげてください。

当院の猫フィラリア予防に使える予防薬をまとめておきます。
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予防薬一覧表(猫)