-
猫の好酸球性硬化性線維増殖症(ESF) Vets ManaViva
猫の好酸球性硬化性線維増殖症(ESF) Vets ManaViva
2024年08月30日
猫の好酸球性硬化性線維増殖症(ESF)についてのwebセミナーを視聴しました。
セミナーはVets ManaVivaというネット上のサロンのような場所で月に一回お題がでて先に問題に答えてから本編で答えと解説を兼ねたセミナーを配信するという形になっています。講師はサロンのホストでもある日本小動物医療センターの中島亘先生でした。中島先生ははじめに好酸球性硬化性線維増殖症って名前が長いので言いにくくてよくESFなどと略して言われることもあるとお話されていました。ESF=Eosinophilic(好酸球性) Sclerosing(硬化性) Fibroplasia(線維増殖症)なんですが、英語でもやはり長いですね。ちなみにESFは主に消化器に病変を作ることが多いのでESFの前に消化器のという意味のGastrointestinalをつけてGastrointestinal Eosinophilic Sclerosing Fibroplasia=GESFと言ったりもします。ESFはイーエスエフと言いますが、なぜかGESFはゲスフと言われています。中島先生は消化器以外にも病変を作るのでどちらかというとGESFよりはEFSの方が呼び方としては適切かもしれないと言っていました。
ESFは主に胃の幽門(胃の出口を幽門と言います)や十二指腸に外側に飛び出すような5層構造の消失した塊を作る病気で、原因は不明ですが何かしらの刺激による好酸球の暴走によって好酸球が集まったり周りに線維が増えて病理切片では好酸球と線維の虎柄模様になるような塊を形成し、内腔では潰瘍を形成して嘔吐や食欲不振などの症状を出す病気です。
またESFは硬いので内腔から内視鏡で組織を採材するのが困難で通常は開腹下で塊をV字状に切って病理検査をした方がいいと言われています。
中島先生が使っている内視鏡はヒト用の太い内視鏡で、大きな鉗子(中島先生はいつもこの鉗子をジャンボ鉗子と呼んでいます)が使えるので内視鏡でも診断可能な組織が採れるとお話されていました。
治療はプレドニゾロンの内服でほとんどの症例がコントロール可能なようです。ただ、寛解までに長いと1年以上かかることもあるようなので糖尿病に注意しつつプレドニゾロンを0.5mg-1mg/kg/dayくらいで根気よく使っているとそのうち病変のある壁厚が薄くなってきて寛解が得られるとお話されていました。