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犬アトピー性皮膚炎治療の新たな幕開け!症例で見る新JAK阻害薬イルノシチニブの実力

2025年11月05日

犬アトピー性皮膚炎治療の新たな幕開け!症例で見る新JAK阻害薬イルノシチニブの実力というwebセミナーを視聴しました。
講師はアイデックスラボラトリーズ株式会社の関口麻衣子先生でした。

JAK阻害薬???ってなりますよね。
JAKとはヤヌスキナーゼと言いまして、とても大まかに言うとアトピーの痒みに関わっている酵素ということになります。
ちょっとだけ詳しい話をしてみます。(眠たくなるようなら読み飛ばしてください)

免疫細胞が出すサイトカインという主に炎症を引き起こす蛋白が放出されると、そのサイトカインを受け取る受容体を持った細胞がサイトカインの刺激によってさらに炎症性サイトカインを作り出して放出します。
そのサイトカインを受け取る受容体にはJAKという酵素がくっついていて、JAKの働きによって炎症性サイトカインが放出されるようになります。
そのJAKの働きを阻害すれば炎症が抑えられるのではないかということで開発された薬がJAK阻害薬になります。

以前からオクラシチニブ(商品名アポキル)というJAK阻害薬はありましたが、最近イルノシチニブ(商品名ゼンレリア)という新しいJAK阻害薬が出てきました。
以前からあるJAK阻害薬とどう違うのかと言いますと

先ほどご説明したJAKには実は種類がいくつかありましてオクラシチニブはいくつかあるJAKの中のJAK1というJAKに効く阻害薬ですが、イルノシチニブはJAK1,JAK2,TYK2という3種類のJAKを阻害する薬になります。
それだけ色んな場面でサイトカイン放出を阻害できるということですね。
関口先生は実際に治療された症例に触れながら、オクラシチニブよりもイルノシチニブの方がアトピーで慢性の重度皮膚炎になってしまった症例に効きやすいとお話されていました。

当院でもオクラシチニブで治療効果がいまいちな症例さんでイルノシチニブを使っていますが、確かに炎症や痒みを抑える効果は強い印象がありますね。
痒みの治療には今ご紹介しました2種類のJAK阻害薬、ロキベトマブ(商品名サイトポイント)という痒みに関わるIL-31というサイトカインに対する抗体薬、シクロスポリン(免疫抑制薬)などがありますが、JAK阻害薬が1つ増えたことで適切な症例に適切な治療薬を選んで使えるようになったと思いました。