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犬の膵炎 その診断と治療の落とし穴
犬の膵炎 その診断と治療の落とし穴
2022年12月23日
犬の膵炎 その診断と治療の落とし穴 というwebセミナーを受講しました。
講師は日本大学の坂井学先生でした。
膵炎の診断にSpec cPLの測定は広く用いられていると思います。
吐いていて食欲がない症例でSpec cPLが高値になっていれば膵炎かなとなることもあると思います。
しかし、膵炎以外でもSpec cPLが上昇することはあります。
よく画像診断の先生はSpec cPLが上がっていても画像で膵臓が腫れていなかったら膵炎じゃありませんからね!とお話されていますが、坂井先生は症状、Spec cPLの数値、画像、他の血液検査データから総合的に膵炎を診断されているようでした。
いくつかの論文を示されていましたが、2021年のJ Vet Diagn Investに門脈圧亢進症がある犬で病理学的に膵炎でないと証明された犬6頭中4頭にSpec cPL上昇があり、2頭には超音波検査で膵臓腫大があったという報告があったそうです。門脈圧亢進があって膵炎に合致する症状があったらSpec cPLは上昇しているし超音波検査で膵臓は腫れているしで実際には膵炎の診断は困難では?と思いました。
副腎皮質機能亢進症やステロイド投与でSpec cPLが上昇するという報告もあるようで膵炎の診断は(特に症状をあまり出さない慢性膵炎)なかなか難しいなと思いました。