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混乱しがちな犬の尿失禁を整理する ACVIMコンセンサスで読み解く診断と管理


混乱しがちな犬の尿失禁を整理する ACVIMコンセンサスで読み解く診断と管理
2025年12月11日
混乱しがちな犬の尿失禁を整理する ACVIMコンセンサスで読み解く診断と管理というwebセミナーを受講しました。
講師は米国獣医内科学専門医(小動物内科)でもあり、アジア獣医内科設立専門医(内科)でもある大阪の松原動物病院勤務の佐藤佳苗先生でした。
(ACVIMコンセンサス=American College of Veterinary Internal Medicine(米国獣医内科学会)が示したガイドラインということですね。)
つまり米国獣医内科学会ACVIMが出した尿漏れについてのガイドラインに沿って米国獣医内科学専門医でもある佐藤先生がお話をするセミナーということですね。
このセミナーは素晴らしかった!!
受講してよかったセミナーです。配布されたハンドアウトは今後尿失禁のワンコさんが来院するたびに見直すことになりそうな気がします。
恥ずかしながら今まで当院では尿漏れの診断を佐藤先生のように系統立てて行ってはいませんでした。
飼い主様のお話から尿道括約筋の弛緩を疑って、尿検査や画像検査の結果からいくつかの疾患を除外しただけで、尿漏れだったらこの薬でしょといったような非常に短絡的な思考で治療を提案していたと思います。
佐藤先生は尿漏れを蓄尿障害と排尿障害に分け、蓄尿障害で多い原因疾患3つ(尿道括約筋機能不全・異所性尿管・排尿筋不安定症)と排尿障害で多い原因疾患3つ(機能的尿道閉塞・器質的尿道閉塞・膀胱アトニー)を念頭に置きつつ診断を進めていくとお話されていました。
ちなみに先生がこれを全部覚える必要はないと言いつつ示していた原因疾患リストでは、蓄尿障害で26疾患・排尿障害で13疾患が挙がっていて確かに全部覚えるのは無理だとは思いましたが、大まかな原因は把握しておきたいと思います。
また佐藤先生は標準化された問診や身体検査を行うようにしてくださいとお話されていました。
佐藤先生が紹介されていたACVIMのコンセンサスに載っている標準化された尿漏れに対する問診には、「いつからか」や「飲水量や尿量は多くないか」などの15の質問が挙がっていましたが、これを全部飼い主様に聞くのはお互いに大変なので印刷物にしてチェックを入れるようにしたほうが良いかもしれないと思いました。
他にも排尿後の超音波検査で膀胱内の尿量を量って下さいとのお話をされていました。
排尿後の残尿が3.0ml/kgあれば蓄尿障害よりも排尿障害を考えるということでした。
今まで排尿後の残尿量の測定など考えたこともありませんでしたが、確かにそうだなと思いましたので当院でも採用していきたいと思います。
佐藤先生が素晴らしいのかACVIMコンセンサスが素晴らしいのか?
いや両方素晴らしいのだと思いますが、犬の尿漏れの診断と治療について新しい風が吹き抜けていった。そんなセミナーでした。
ブラボー!!!









