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休診日 火曜日・祝日

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最近話題の神経疾患

2025年10月31日

最近話題の神経疾患というwebセミナーを受講しました。
講師は日本獣医生命科学大学の長谷川大輔先生でした。
また本セミナーは動物検診センター キャミック主催のセミナーでした。

長谷川先生は最近話題になっている疾患として以下の3つの疾患を挙げていました。

・フレンチブルドッグやボストンテリアのグリオーマ

・トイプードルに多い発作性ジスキネジア

・起源不明脳炎(MUO)の傾向と治療法

グリオーマ(=神経膠腫)とは犬では髄膜腫(約50%)に次いで発生が2番目に多い(約35%)脳腫瘍です。
(猫では比較的稀で10-15%)
元々ボクサーやブルドッグに多い腫瘍ですが、最近はフレンチブルドッグとボストンテリアでの発生も多くなっています。
(この4犬種でグリオーマと診断される犬の50%以上を占めています)
好発年齢は他の腫瘍と比べると比較的若く、8歳(6-9歳)と言われています。
主な症状はてんかん発作ですが、固有位置感覚の低下(74%)・意識レベルの低下(69%)・歩様異常(59%)・視覚障害(54%)・行動変化(51%)などもあるようです。
長谷川先生は好発犬種に脊椎の奇形が多いことから固有位置感覚の低下や歩様異常についてはグリオーマによるものなのか脊椎奇形によるものなのか判別が困難なケースもあるとお話されていました。
また先生は発作を主訴に動物検診センターキャミックを訪れた犬の犬種によるMRI検査データの比較を示していたのですが、ほとんどの犬種で5-7割の症例が肉眼的異常なしとなっていましたが、フレンチブルドッグだけが68.3%で脳腫瘍ありとなっていました。
これらの結果を示しながら、先の4犬種にてんかん発作があったら脳腫瘍を疑ってMRI検査をするべきとお話されていました。
また生存期間中央値が25日とお話されていて、なかなか厳しい腫瘍だと思いました。

2番目に発作性ジスキネジアについてお話されていました。
発作性ジスキネジアとは不随意運動・運動異常症のひとつで、意識を保ったまま四肢をピクピクさせたりするのでてんかん発作のうちの焦点性発作と間違われやすいとお話されていました。
また国内ではトイプードルに圧倒的に多い(他の犬種ではラブラドールレトリバーやジャックラッセルテリアでもちらほらあり)ようですが、恐らく命にかかわらない病気で治療法もないので経過観察をしていくしかないとお話されていました。

3番目にMUOの治療についてお話されていました。
MUOとはMeningoencephalomyelitis of unknown origin=起源不明の髄膜脳炎のことで、壊死性髄膜脳炎(NME)・壊死性白質脳炎(NLE)・肉芽腫性髄膜脳脊髄炎(GME)が含まれます。
どれも大変な病気でこれといった治療法もないのが現状です。
先生は報告があったいくつかの治療法に言及されていましたが、どの治療法でも治療効果や副作用の発現率に大差はないとお話さえていました。

どのお話も興味深いお話でしたが、発作性ジスキネジアは特に焦点性発作との鑑別などについても自分的に知識の更新がされたと思います。また最近フレンチブルドッグ増えてますからけいれん発作があった場合は気を付けたいと思います。