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抗真菌薬の適応疾患と使い方
抗真菌薬の適応疾患と使い方
2024年03月24日
第20回日本獣医内科学アカデミーで配信された教育講演 抗真菌薬の適応疾患と使い方を視聴しました。
講師はMycoLaboの大村美紀先生でした。
動物病院では時に真菌症に出会うことがあります。
そのほとんどが皮膚糸状菌症やマラセチア症という表在性真菌症です。
表在性真菌症に対して深在性真菌症という病気があります。表在性真菌症は皮膚や被毛などに限局して真菌感染を起こす真菌症で、深在性真菌症とは鼻や口あるいは体表の傷から体内に侵入してきた真菌が体内で増殖する病気です。
ちなみに真菌とは糸状菌(水虫菌ですね)、酵母(味噌や醤油を作るときに必要な菌)、キノコなどのことを言います。丸っとカビ菌みたいに考えてもらって良いと思います。
大村先生は真菌症はベテランの獣医師もはまる臨床上の落とし穴で、診断がつかない・治らない・何かがおかしいと思った時に真菌症も鑑別疾患にあげてくださいとお話されていました。
ヒト医療のデータを示して深在性真菌症が過去50年で約3倍に増加しているそうです。
大村先生はいくつかの抗真菌薬の特徴や使い方、アスペルギルス症やコリプトコッカス症などの深在性真菌症への対応方法などについてお話されていましたが、中にスエヒロタケというまさにキノコの感染による深在性真菌症についてもお話されていました。スエヒロタケは南極大陸を除く全世界に分布しているキノコらしいのですが、なぜかヒトも動物も感染報告は日本に集中しているそうです。
真菌感染を鑑別疾患の上の方に考えることは今まで多くありませんでしたが、大村先生のお話を聞いて真菌感染も考えておかないといけないなと思いました。