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展示動物の麻酔
展示動物の麻酔
2024年05月02日
日本獣医麻酔外科学会 麻酔ブートキャンプ公開講座 展示動物の麻酔というwebセミナーを受講しました。
上野動物園の林笑先生、よこはま動物園ズーラシアの東野晃典先生、美ら海水族館の植田啓一先生、しものせき水族館の進藤英朗先生、海遊館の伊東隆臣先生、ナミビア野生保護区での麻酔について日本エキゾチック医療センターの三輪恭嗣先生がそれぞれの施設における動物や魚類の麻酔管理などについてお話をされていました。
普段経験できない麻酔について現場で日々対応されている先生方の体験談を聞ける貴重なセミナーでした。
ニシローランドゴリラの麻酔ではミダゾラムをアクエリアスに混ぜて飲ませて鎮静をかけた後に吹き矢でブトルファノールとケタミンを吹き矢で筋肉注射して寝かすらしいのですが、ゴリラは嫌なことをされた人の顔を覚えるので吹き矢を吹くときに顔が見えないように変装するとお話されていました。
映像では確かに帽子を被ってサングラスをかけた先生が吹き矢を吹いていましたが、かなり怪しい恰好にはなっていました。
動物園では以前からハズバンダリートレーニングというトレーニングをしているというお話は伺っていましたが、すでにかなり普及していてほとんどの動物園では基礎にハズバンダリートレーニングがありきで検査などが行われているようでした。
ハズバンダリートレーニングとは、検査や処置を動物の協力によって(麻酔や抑え込んだりをしないで)行うためのトレーニングです。
簡単なものには体重測定があります。体重計に乗るとご褒美がもらえるようにトレーニングをしておけば動物自ら体重計に乗るようになりますよね。
今回のセミナーでも鶏のミンチを舐めているトラの尾静脈から麻酔薬を入れている動画がありました。
当院でも採血などを行う際にちゅーるを舐めてもらうことがあります。ハズバンダリートレーニングと言えるかどうかは不明ですが、動物に過剰な恐怖心を与えないようにできることもあるので役に立ってはいます。
展示動物には体の大きい動物もいますから、動物の安全も確保しつつ周囲の人員の安全も確保しないといけないという現場の先生方の日々のご努力が垣間見えたセミナーでした。