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免疫介在性溶血性貧血 ACVIMコンセンサスステートメントとアップデート

2023年09月16日

免疫介在性溶血性貧血 ACVIMコンセンサスステートメントとアップデートというwebセミナーを受講しました。
講師は米国獣医内科学専門医でどうぶつの総合病院内科主任の福島健次郎先生でした。
コンセンサスステートメントって聞き慣れないかもしれませんが、ガイドラインと置き換えていいと思います。ちなみに当ブログにはもう何度も出て来ていると思いますが、ACVIMとはAmerican College of Veterinary Internal Medicineの略で日本語にすると米国獣医内科学会みたいな感じになると思います。つまりACVIMコンセンサスステートメントとは米国獣医内科学会が出したガイドラインということになりますね。

免疫介在性溶血性貧血は主に犬で時折見られる病気で、自分の免疫によって赤血球が攻撃されて壊れてしまう病態です。
福島先生は2019年にACVIMから発表された免疫介在性溶血性貧血についてのコンセンサスステートメント(分かりにくいので以後ガイドラインとします)についてお話されていました。今まで溶血性貧血のガイドラインがあることを知らなかったので興味深くお話を聞かせて頂きました。ガイドラインによると、貧血があることを前提に免疫介在性の赤血球破壊所見が球状赤血球の出現・赤血球凝集・クームス陽性のうち2つ以上あって、溶血を示唆する所見が高ビリルビン血症・ビリルビン尿症・黄疸・ヘモグロビン血症・ヘモグロビン尿症・赤血球ゴーストのうち1つあれば免疫介在性溶血性貧血と診断してよいと書いてあるようです。わかりやすいと思いました。つまり免疫が関わっている赤血球破壊所見と溶血所見に注目していけば良いということですね。
アップデートとしてJVIMに発表されたカルボキシヘモグロビンについての報告について触れていました。
カルボキシヘモグロビンとは一酸化炭素とヘモグロビンが結合したものだそうです。ご存じの方も多いかもしれませんが、一酸化炭素はヘモグロビンとの親和性が高くなっていまして酸素の200倍以上ヘモグロビンと結合しやすくなっています。一酸化炭素中毒が起きてしまう原理ですね。その性質を利用して血清中に処理しきれていないヘモグロビンがどのくらいあるかを一酸化炭素を使って調べることができるそうです。処理しきれていないヘモグロビンが血清中に多量にあるということは溶血があるのだろうと考えることができるということですね。
まだカルビキシヘモグロビンの測定をしている検査センターが国内にはないようなので早く測定できるようになるといいなと思いました。