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犬の小腸大細胞性T細胞リンパ腫2025


犬の小腸大細胞性T細胞リンパ腫2025
2025年05月01日
犬の小腸大細胞性T細胞リンパ腫2025というwebセミナーを受講しました。
本セミナーはVets ManaVivaというネット上のサロンのような場所で月に一回お題が出て先に問題に答えてから本編で答えと解説を兼ねたセミナーを配信するという形になっています。
講師はサロンのホストでもある日本小動物医療センターの中島亘先生でした。
セミナーでは始めに犬の胃腸のリンパ腫は多様なサブグループが存在する疾患群であって単一の病気として考えるべきではないとのお話がありました。
リンパ腫の発生部位・由来細胞(T細胞/B細胞)・大細胞性か小細胞性か・犬種・消化管に腫瘤(塊りと考えて下さい)を作るか作らないか・WHO分類などによって本来は細分化されるべき疾患群だが、それらがゴチャゴチャに混じってしまっているのが現状ということらしいです。
つまりゴチャゴチャになっている疾患群をきちんと分ければ、このリンパ腫はこのような性質があるから治療はこれで平均生存期間はこのくらいだけど、こっちのリンパ腫はまた違うこんなような性質をもっているので治療はまた違うこんな感じで平均生存期間はこのくらいというようにそれぞれ別の病気として別の治療が勧められる可能性もあるということですね。
僕も今まで発生部位やT細胞かB細胞かや大細胞性か小細胞性かなどによって勧められる治療法に違いがあることや予後(これからの展望というような意味)に違いがあることは知っていたのでそれらから飼い主様に治療提案をしたり予後についてお話をしたりしていましたが、それぞれが別の疾患だとは考えていませんでした。
言われてみれば確かにそうだなと思いました。
ちなみに犬の消化管に発生するリンパ腫についてですが、胃を含む胃より上部にはほとんど発生しませんので発生部位は小腸と大腸になります。大腸原発のリンパ腫はB細胞性が多く、平均生存期間も長めだと認識しています。小腸のリンパ腫はほとんどがT細胞性かつ大細胞性で比較的予後が悪いイメージがあります。当院ですと小腸に発生したT細胞性かつ大細胞性リンパ腫の治療については、L-アスパラギナーゼという薬を週1で使って行って効かなくなった場合は飼い主様のご希望があれば次にACNU(ニドラン)という薬を3週に1回で使っています。
どの治療薬を使っても予後は厳しく残念ながら1年以上生きることはほぼない(多くは2-5か月です)病気ですが、消化管型リンパ腫は消化器症状を表していることが多いので、副作用として消化器症状が出る可能性のある薬は避けています。
セミナーの中で好発犬種についても触れていました。
柴犬は消化管型リンパ腫の発生が多い犬種で、セミナーでもそれ以外の場所でも中島先生は柴犬の消化管型リンパ腫をよく見るというような話をされています。
柴犬は消化管型リンパ腫発生という観点ではやや変わった犬種で、発生年齢が若めな印象があります。
中島先生は1-2歳でも消化管型リンパ腫だというようなこともあるので気を付けるようにと話されていました。
柴犬の消化器症状に気を付けていきたいと思います。