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改めてどう戦う犬の僧帽弁閉鎖不全症 内科編 外科編 総合討論編


改めてどう戦う犬の僧帽弁閉鎖不全症 内科編 外科編 総合討論編
2025年04月14日
改めてどう戦う犬の僧帽弁閉鎖不全症 内科編 外科編 総合討論編の3本のwebセミナーを視聴しました。
本セミナーはEduward Pressという出版社が出している「犬と猫の治療ガイド 私はこうしている」という本の出版記念セミナーでもありました。
「犬と猫の治療ガイド 私はこうしている」は各分野の専門家が専門分野の疾患について「私はこうしている」というような診断法から治療法、予後までを詳しく執筆しているとても優秀な本で、数年に1回改訂されています。改訂ごとに内容がほぼ入れ替わっていますので改訂と言いつつも新しい病気の参考書として出版されています。前回の出版は2020年でしたから5年前になりますが、前回の2020年改訂では内容が多くなったせいか犬と猫がそれぞれ1冊に分かれて出版されています(以前は1冊で犬と猫を網羅していたと記憶しています)。
その犬と猫の治療ガイドが恐らくさらに内容が充実したせいだと思いますが、2025年3月~2027年12月まで年間4冊の計12冊を定期配本という形で出版することになったようです。
僕の場合は診療で困った時にまず1番始めに頼るのがこの「犬と猫の治療ガイド」です。大抵のことはここに書いてありますのでまずはここに眼を通して、さらに疑問があるときは専門医に質問をしています。
その「犬と猫の治療ガイド 私はこうしている」の初回配本の循環器バージョンが3月に出版されたので、今回のセミナーでは僧帽弁閉鎖不全症における内科編担当としてどうぶつの総合病院の高野裕史先生、外科編担当としてJACCTC動物心臓血管ケアチームの森拓也先生がそれぞれの分野のお話をされていました。3本目の動画ではファシリテーターとして北海道大学の中村健介先生が加わって3人の先生方の総合討論のような形になっていました。
この数年で僧帽弁閉鎖不全症に対する外科治療が進歩してきて外科治療を選択される飼い主様が増えたと聞いています。
3本の動画全体で内科治療と外科治療の比較や内科治療から外科治療を選ぶ時期などについてお話がありましたが、特に外科編担当の森先生のお話は非常に興味深いものがありました。
また内科編担当の高野先生から、肺水腫でもCRP(炎症のマーカー)が上がるんだよとのお話がありました。高野先生からも中村先生からも肺水腫でCRPが上がったとしても抗菌薬は必要ないとのお話がありました。肺水腫は肺胞内に液体が溜まってしまって肺胞内でガス交換ができなくなるとても危ない疾患です。CRPが上がっていたら今までは抗菌薬を使っていましたが、これからはそこに細菌感染があるのかどうかをきちんと評価してから抗菌薬を使っていきたいと思いました。