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犬の食事反応性腸症をアップデート2024 VetsManaViva
犬の食事反応性腸症をアップデート2024 VetsManaViva
2024年10月28日
犬の食事反応性腸症をアップデート2024というwebセミナーを受講しました。
セミナーはVets ManaVivaというネット上のサロンのような場所で月に一回お題がでて先に問題に答えてから本編で答えと解説を兼ねたセミナーを配信するという形になっています。
講師はサロンのホストでもある日本小動物医療センターの中島亘先生でした。
慢性腸症って何?ってなるかもしれませんが実は前回のブログのテーマも慢性腸症だったりするので、前回のブログからひっぱってきますと「慢性腸症とは、3週間以上継続するまたは再発性の下痢嘔吐などの消化器兆候を引き起こす疾患群で、消化器兆候を示す各種疾患(感染症・内分泌疾患・肝疾患・腎疾患他など)を除外したうえで診断する」ということになっています。
慢性腸症は時代によってその分類方法が若干異なっていまして、2016年の時点では食事反応性腸症・抗菌薬反応性腸症・免疫抑制薬反応性腸症・治療抵抗性腸症の4つに分類されていました。
左の図は2016年に発表された犬の慢性腸症を分類する有名な図ですね
NRE=治療抵抗性腸症
IRE=免疫抑制薬反応性腸症
ARE=抗菌薬反応性腸症
FRE=食事反応性腸症です。
FREが最も多いのでまずは食事の反応を見て治らなければ次は抗菌薬、それでも治らなければ免疫抑制薬という順番で診断を進めていくというやり方でした。
2022年には2016年に発表された分類図をなぜか逆さまにした慢性腸症の分類図が発表されました。
2016年の図では下から順にやっていくようになっていますが、2022年は上からになってます
大きな変化点としては、ARE=抗菌薬反応性腸症がIREの次に来たことと幅が小さくなってかっこ付きになったことです。
作者の「やたらと抗菌薬を使うなよ!」という意思を感じます。
そしてついに2024年に発表された慢性腸症の分類図が左図の右の三角形です。
なぜかまた2016年に発表された分類図に近い形に戻りました。
そしてARE=抗菌薬反応性腸症という分類がなくなっています。
無くなった代わりにMrMREという分類が追加されました。
MrMRE( microbiota-related modulation-responsive enteropathy)=腸内細菌叢改善薬反応性腸症ということみたいですが、腸内細菌叢改善薬とはプロバイオティクスやプレバイオティクス、シンバイオティクスなどです。
そして、以前はFREとAREの境界がはっきりとありましたが、新しい図ではFREとMrMREの境界がぼやけています。
FREとMrMREははっきりと区別できないからじゃないかと中島先生はお話されていました。
さらに中島先生は、腸内細菌叢改善薬反応性腸症という名前が長すぎるので今後定着しないのではないかとも話していました。
動画内では、中島先生が診療した食事反応性腸症のワンコたちの検査や治療経過について話していましたが食事反応性腸症の犬の治療について頭の中が整理されてよくわかったような気がしました。
ただし、中島先生のお話はどの話もいつもとてもわかりやすく自分の能力が挙がったような錯覚に陥ることがよくあるので注意が必要です。
毎月webセミナーを20時間以上見るようにしていますが、今月は10時間程度で終わりそうです。
普段の診療で何かと大変な症例があったので調べたりまとめたりで時間がかかったのもありますが、12月に画像診断学会の認定医医試験の実技試験があるので画像診断の勉強もやっています。去年は勉強が間に合わなくて朝早く起きて勉強していましたが残念ながら試験には落ちました。あれから1年地味に画像診断の勉強はしてきましたが、今年はどうでしょうか!
そもそもが町のクリニックの獣医が画像診断を仕事にしている先生と同じ資格を持ってたら面白くない?ということで始まった受験ですが、思いがけず筆記試験に合格したので何とか実技試験も合格を目指したいと思っています。
12月の試験まではブログの更新頻度も落ちると思いますが、年甲斐もなく受験勉強してるんだなと思っていてください。
年明けには合格の報告ができるように頑張ります。