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僧帽弁閉鎖不全症 ~Cの基本~ VetsManaViva 循環器部屋
僧帽弁閉鎖不全症 ~Cの基本~ VetsManaViva 循環器部屋
2024年09月26日
僧帽弁閉鎖不全症 ~Cの基本~というwebセミナーを視聴しました。
今回のwebセミナーはwebセミナー配信会社のVETS TECHさんが運営している犬猫の循環器について学びたい先生方が集まるネット上のサロンのような「VetsManaViva 循環器部屋」での9月の勉強会での配信でした。
講師はどうぶつの総合病院の高野裕史先生でした。
犬の僧帽弁閉鎖不全症は比較的よく遭遇する病気で、心臓の僧帽弁という弁に粘液腫様変性が起こった結果僧帽弁がきちんと閉じなくなってしまって左心室の収縮と共に血液が左心房に逆流してしまいます。本来左心室から大動脈を経て全身に流れるはずの血液が一部左心房に戻ってしまうので1回拍出量が減ったり、左心房圧が挙がって何かと問題を出してきたりします。主な症状は運動能力が落ちる運動不耐、咳、呼吸数増加などがありますが、肩で苦しそうに息をするようになるといよいよ肺水腫が疑われる状態になって命に係わる病気でもあります。治療は内服薬による内科治療と僧帽弁の縫縮による外科治療になります。僧帽弁の縫縮術による外科治療は心臓外科になりますので血液の体外循環装置を使った外科治療で費用はそれなりにかかりますが内科治療がほとんど必要なくなるか全く必要なくなります。高野先生はハイリスク・ハイリターンですけど最近はそれほどハイリスクでもなくなってきていますねとお話されていました。
講義内では主にACVIMのガイドラインや多くの報告にそって僧帽弁閉鎖不全症の分類や治療についてお話されていました。
ちなみにタイトルにある「Cの基本」のCとはACVIMのガイドラインにあるStage A~DのStage Cのことです。
ちょっと何言ってるかわかんないってなると思いますので、チョー簡単に説明をしてみるとStage A 心臓病好発犬種だが今の時点では心臓に異常のない犬、Stage B(~D) 僧帽弁に逆流のある犬、Stage C(~D) 過去か現在肺水腫になっている犬、Stage D 通常の治療ではコントロールできないくらい悪化している犬ということです。さらにStage BはB-1とB-2に分かれていて、B-1は逆流はあるが心臓(左心房や左心室)の形や大きさに変化がないか変化が小さい犬、B-2は逆流があって心臓の形や大きさにある一定以上の変化がある犬ということになっています。
「ある一定以上」の基準についてはさらにややこしくなるので当院の循環器科のページから→代表的な循環器の病気→僧帽弁閉鎖不全症→診断→ACVIMの僧帽弁閉鎖不全症の分類(2019)→B-2をご覧ください。
僧帽弁閉鎖不全症のACVIMのガイドラインについてもっと詳しく知りたい方はガイドラインの和訳がネット上にありますので、ご覧になると良いかと思います。
セミナーでは多くの報告を紹介しながら治療についての高野先生のご意見も聞けました。
高野先生はうっ血所見や肺水腫などのある犬に使う利尿剤について、急性期はフロセミドを使うが急性期を乗り越えた後はすぐにトラセミドに切り替えることが多いとお話されていました。当院でも次第にそのような傾向になってきていますが、腎数値の上昇や食欲の低下なども起こりやすく使用にはやや注意が必要な薬ではあります。
またよく使われるフロセミドの商品名は「ラシックス」についてラシックスとはラストシックスの略で6時間効果のある薬という意味らしいよとのお話がありました。6時間は利尿がかかるが他の時間はNaイオンと水分を通常よりも体内に保持するような利尿とは逆の効果も出てしまうので効果時間の長いトラセミドの方が良いかもしれないとのお話でした。
画像診断学会の認定医試験を12月に受験予定です。
去年は確か5月に筆記試験があって筆記は合格しましたが、12月の実技試験を落としました。
そろそろ受験勉強もしなくてはいけないのですでにwebセミナーを見る時間を絞って画像診断の勉強に当てています。
今年は何とか合格したいとは思っていますが、どうでしょうか?!
頑張ります!