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高齢動物の抜歯 どのように適応を決めるか
高齢動物の抜歯 どのように適応を決めるか
2024年04月12日
高齢動物の抜歯 どのように適応を決めるかというwebセミナーを視聴しました。
講師はフジタ動物病院の藤田桂一先生でした。
先生はまず歯科処置の重要性について触れていました。
歯周病原性細菌やこれらの細菌にともなった炎症性メディエーターなどが全身の血流から心臓・肝臓・腎臓などの全身の臓器の疾患に至る可能性がある。よってすでに歯垢・歯石が付着し歯周組織に炎症が生じた症例は原則的に治療対象であるということをいくつかの報告をもとにお話されていました。
フジタ先生の病院には主治医の先生から歯周病では死なないから今すぐに処置しなくても良いと言われたり、高齢犬・小型犬・短頭種だから麻酔がかけられないと言われた動物が来るそうです。
麻酔のリスクについては個別の評価が必要だとは思いますが、全体に歯周病を甘く見ている発言だと思います。
次に無麻酔歯石除去について触れていました。
麻酔は安全ではないから麻酔をかけないで歯石除去をすればいいのでは?という意見を耳にすることがあります。藤田先生は無麻酔歯石除去がどれだけ危険かという話や世界的な歯科の団体(World Small Animal Veterinary Association=WASVA、American Veterinary Medical Association=AVMA、American Animal Hospital Association=AAHA、Europian Veterinary Dental Society=EVDS、American Veterinary Dental College=AVDS)と僕が所属している日本小動物歯科研究会が無麻酔歯石除去は危険だからやってはいけないという声明を出しているとお話されていました。
確かに僕も無麻酔歯石除去には絶対的に反対です。それは麻酔をかけないできちんとした歯科診療はできないと考えるからです。しかし、麻酔をかければ必ずきちんとした歯科診療ができるかと言うとそうでもない場合があります。きちんとした歯科診療には歯科レントゲンや歯肉溝の測定などの歯や周囲組織の評価が不可欠だからです。
つまり、大事なことは麻酔をかけるかどうかだけではなく、きちんとした歯科診療をしているかどうかではないかと考えた藤田先生のお話でした。