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大田寛先生と本音で語り合うエビデンスと実臨床のはざま Vets ManaViva
大田寛先生と本音で語り合うエビデンスと実臨床のはざま Vets ManaViva
2024年02月18日
大田寛先生と本音で語り合うエビデンスと実臨床のはざまというwebセミナーを視聴しました。
このセミナーはVets ManaViva 消化器部屋という動物の消化器内科のwebサロン内で行われた対談企画で、消化器部屋のホストでもある日本小動物医療センターの中島亘先生と酪農学園大学准教授でアジア獣医内科学専門医の大田寛先生が慢性腸症ついてのエビデンスに基づいた治療と実臨床のはざまでおこる問題について対談をされていました。
エビデンスと実臨床のはざまで起こる問題などと分かりにくいことを言ってしましましたが、要は下痢の症例について抗生物質を使うのか使わないのか?どっちなんだい?!(きんにくんのザ・きんにくTV 2ndたまに見てます 面白いですね)という問題についてお二人でほとんどの時間お話をされていました。
というのも、最近では急性下痢に抗生物質を使っても使わなくても回復までにかかった時間などに差が無いという報告が何本も出て来ていて抗生物質を使いにくくなってきています。
しかし、多分抗生物質が効いたんだろうなという感触を得ている症例も実際にあります。
エビデンスに基づいてまずは抗生物質以外の治療を試してみて、反応が悪ければ次に抗生物質を出してみるのですが、下痢があっさり治ることもあります。
まずは抗生物質以外の治療を試してみて反応が悪かったから次に抗生物質に行きましたということで、ここまでは多分責められるようなことは無いと思います。
しかし、このわんちゃんが次に下痢をした際にほとんどの場合飼い主様から「先生、このまえ2回目に出してもらった薬効いたからアレだして」と言われます。
このような経緯によって心の中でチクっとしたものを感じながら初めの治療から抗生物質をだすこともよくあります。
大田先生は大学の先生ということもあってやはり公な場所ではエビデンスに基づいた治療しかお話できないが、実際抗生物質が効くことは知っているとお話されていました。
中島先生はあれをやってもこれをやってもなかなか下痢が治らない症例が、夜間に下痢で具合が悪くなってしまって救急病院でメトロニダゾールという下痢に使われる抗生物質がでたら1日で下痢が治ったという経験談をお話されていました。おふたりとも2次診療施設の先生ですが、うちのような1次診療施設ではさらにエビデンスと実臨床のはざまで起こる抗生物質どうするのか問題が大きくなります。
確かに抗生物質の乱用は公衆衛生上なにかと問題はあるとは思うが、確かに効く症例もいます。
エビデンスはエビデンスとしてとらえておいて、はじめから抗生物質を提案しないようにしたり、使うにしても期間を短くするなどして耐性菌を作らないようにしていくしかないのでは?と思いました。